s i t e s a k a m o t o
『CHASM』 インタビュー
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what's new
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SAKAMOTO Q&A Vol.10/『CHASM』

全曲解説

12: laménto
Music by Ryuichi Sakamoto

Foot steps: Eugenah
Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

ある日、いつものように音の素材をいじって遊んでいたら、あの「じ〜じ〜」という音ができた。
直感的にこれは使えると思って、すぐにハーモニーを付けてみました。
そういう作業って本当に「一瞬」なんですよ。何かが出来る時って。
ただ友達から「身体性のある音が入っているとオモシロイ」という助言があったので、ためしに足音を入れてみたらすごく良かったんです。
やっぱり、テンプラみたいなもので、揚げすぎない方がいいんですよねぇ。(笑)
タイトルの「laménto」は「嘆き」っていう意味。「嘆き歌」とでも言うのかなぁ〜。
最初の「じ〜じ〜」って音が、泣いてるみたいで、悲しい感じがしたんですよ。



13: World Citizen/re-cycled
Music and Lyrics by David Sylvian

Electric guitar: Keigo Oyamada
Processing: Ryoji Ikeda
Keyboards: Ryuichi Sakamoto
©2003 Opium (Arts) Ltd. For Japan assigned to Sony Music Publishing (Japan) Inc.

シルビアンの「World Citizen」ですね。
2003年、10月のシングルでは池田亮司くんがRemixをしていましたが、あれを聴いてぼくもRemixしてみようと思ったんだよね。実は池田くんからRemixで使った音も貰っていたので、その音も使ってますけど。(笑)
やっぱり小山田くんのGuitarでしょうイイのは!
エレピの音もいいでしょ。それも刺激になっています。自画自賛ですね。
よ〜く聴いてもらうと、ぼくの足音も入っていますよ。



14: Seven Samurai – ending theme
(music for PS2 game “Seven Samurai 20XX”)
Music by Ryuichi Sakamoto

Hichiriki: Aya Motohashi
Shakuhachi: Dozan Fujiwara
Erhu: Jiang Jian Hua
Gu Zheng: Jian Xiao-Qing
Vocals: Sharyn Chimedtseye
Piano, Keyboards and Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2003 Kab Inc. Performing Rights Division /Japan (JASRAC)

2002年、8月15日に録音しました。
この曲は、自分でも本当に「10年に1曲か?」と思うほどいい曲だと思っています。
もちろん表面的にはCHASMっぽくはないけれど、どうしても入れたかった。
結果的には違和感があるようで、無い!
電子的な音を聴いてくると、生音が新鮮に聴こえるよね。
ピアノ、篳篥、古筝、二胡、尺八、モンゴルの長歌、という取り合わせが妙だよね。
想像だけど、例えば1920年代の上海とかでやられていたかもしれない楽器の組み合わせのようで、すごく面白い!

updated on 2/24/2004


Media Information Update-2/24/2004

RADIO

CROSS FM「Good Morning DMD」2月23日(月)~27日(金) 放送予定
FM 横浜「Pop’n Magic」2月23日(月)〜26日(木)18:00~18:40 放送予定
FM-GUNMA「@JCT」2月23日(月)〜27日(金)17:00〜 放送予定
FM-GUNMA「Site 9-11」 2月24日(火)9:00〜 放送予定
Tokyo FM「Morning Freeway-『ムシカプラザ』」2月24日(火) 放送予定
FM-GUNMA「チャンネル148」2月24日(火)、25日(水)14:00〜 放送予定
J-WAVE「PRIME ANGLE」2月25日(水)14:00〜 放送予定
J-WAVE「Groove Line」2月25日(水)17:00〜 放送予定
NACK 5 「NACK with You」2月26日(木)9:00~ 放送予定
J-WAVE「ASIENCE Sprit of Asia」2月29日(日)18:00〜18:54 放送予定
FM 横浜「Artist Special」2月29日(日)19:00~20:00 放送予定
NACK 5「SUNDAY Navigation」2月29日(日)5:30~8:00 (6:10AM頃) 放送予定
J-WAVE「RadioSakamoto」2月29日(日)24:00〜26:00 放送予定
TBSラジオ「日曜日の秘密基地」2月29日(日)13:00〜17:00 放送予定
FM-GUNMA「音楽の玉手箱」2月29日(日)13:00〜 放送予定
Hiroshima FM「坂本龍一-CHASMISM」2月29日(日)19:00〜20:00 放送予定
CROSS FM 「DMD Waiting Bar」3月2日(火) 放送予定
NHK FM「ミュージック・スクエア」3月2日(火)21:00〜22:35 放送予定
Bay FM「モザイクナイト」3月4日(木) 27:00〜 放送予定
NACK 5「NACK ON TOWN」3月8日(月) 15:35〜 放送予定
DATE FM「坂本龍一スペシャル “ undercooled”」3月21日18:00〜 放送予定
FM COCOLO「大貫妙子 Radio Purissima」 放送日未定
updated on 2/24/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.9/『CHASM』

全曲解説

10: the land song – music for Artelligent City/one winter day mix
Music by Ryuichi Sakamoto

Hichiriki: Aya Motohashi
Accordion: Gil Goldstein
Tin Whistle, Low Whistle: Carlos Nuñez
Piano, Keyboards , Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2003 Kab Inc. Performing Rights Division /Japan (JASRAC)

六本木ヒルズのために書いた曲。
実はこの曲の依頼があったので、CHASMの制作が遅れたんですよ!(笑)
2003年,年が明けてすぐにソロの制作に入りたかったけど、この曲を作らなくちゃいけないくてね〜。
でもソロとは少し違う方向性の曲ってこともあって、なかなか出来ませんでした。
去年の暮れに、「winter version」をたのまれて、これもソロの真っ最中で結構辛かったんですよん。(^^;
最初のバージョンは没になったりして。やり直しもあったしぃ。没になった方の、自分では気に入っていたドラムを使ったのがこちらのバージョン。
アルバムに入れるためにCHASM的調味料をほどこしたように聴こえるのは、CHASMを作っている真っ最中だったので、当たり前ですね。
最後の最後で、小山田くんのGuitarの1秒にも満たない欠片(小さい「ピッキッ」っていうノイズ音)を入れたんですが、その小さな欠片のおかげでぐっとCHASMっぽくなりました。いや、スバラシイ!



11: 20 msec.
Music by Ryuichi Sakamoto

Piano, Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

これも2003年、5月15日のピアノの即興ピース。二つ目です。
あの日は本当に収穫があったねぇ。(笑)
ピアノの音を1個ずつ全部チギッて、それぞれ逆回転にしてあります。
それだけでもかなり静寂感があって好きなんだけど、試しにドラムとベースを入れてみたらそれも良かったので、アルバムにはそちらのバージョンを入れました。
超ミニマルなリズム・トラックなんだけど、音色が複雑に変化してゆくので、かなり気に入っています。
ピアノの静けさととても合っている気がしています。
音楽的にはアルウ゛ォ・ペルトなんかの、静かで瞑想的な世界に近いなー、と思います。

updated on 2/23/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.8/『CHASM』

全曲解説

8: break with
Music by Ryuichi Sakamoto

NY taxi driver: unknown
Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

このLoopもいつしかありました。(^^;
すごく気持ちが良くてね〜。
これはね〜「Seven Samurai−ending theme」で使われている音の素材を使っていますが、それ以外はNYのTAXIの音だけ。この音はeffectとかほとんど使っていません。
最近は携帯が普及して少なくなってきて残念なんだけど、こちらのTAXIの運転手が会社と交信する無線の音が前から好きで、TAXIに乗るときはMDなどを持って乗るように気をつけています。この日はたまたまいいのが録れたんだよね〜。中東とかインド・パキスタン系の人も多いので、その言葉のイントネーションもいいし、無線で音が汚れる、その汚れに「ぐっと」来るんだよね〜。タイトルは「訣別する」って意味ですね。
これは〜あのアメリカ帝国主義との訣別ってことで・・。(^^; 
とにかく、もう「呆れた」と。



9: +pantonal
Music by Ryuichi Sakamoto

Chants: Thai Monks
Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

これの元は、スケッチ・ショウの真似ですね!(^^;
「wonderful to me」みたいな曲がとてもイイので、ぼくもああいうのを作ろうと思いまして。
そういう意味ではテストのトラックというかね・・・。
トライアルのトラックを作ってみたんです。
実はそれが、James Brownの「Payback」のカバーだったんだよね。
今でもかすかにその名残があるけどね。ベースとかに。
当初は「Payback」って歌も入れて、マジでカバーにしようと思っていたくらいです。だけど、そのテストとは別なトライアルのトラックに使っていたThaiの坊さんの声明が妙にハマるんで、こっちをメインでいくことにしました。
これも、ものすごくシンプルだけど、ぼくにしてはめずらしくいいGroove感があって、気に入っています。
Pantonalは汎調性という意味です。

updated on 2/23/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.7/『CHASM』

全曲解説

6:only love can conquer hate
Music by Ryuichi Sakamoto

Voices,birds: from Lake Turkana
Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

気が付いたらこの曲があったんですよ。(笑)
全く忘れていたんだけど、気が付いたらある日作ってあって、それも2002年の
4月なんで、ずいぶん前ですね。
でもね、記憶にないんだよね。ある日突然あることに気が付いてね。
本当にぼくの曲なんだろうか?
でも「スケッチ」ってちゃんとメモしてあるのよねぇ〜。
ありがちなアンビエント・トラックだけど、なんかいいんだよね。
ただ「CHASM」のほかのトラックとの調和を考えて音色などはいじりましたが、母体となるトラックは最初のままです。
水の音を入れたかったので、ケニアのトゥルカナ湖で録音した音がちょうど良かったので入れました。
また、ずいぶん前に買って、使わないでほったらかしていたテルミンを使ってリングモジュレーションをコントロールしてみました。こんな長いアンビエントなトラックをアルバムの真ん中に持ってくるのは非常識なんだけど(^^;、他に入れるところがなくて、どうしても「World Citizen-I won’t be disappointed」の後じゃないと収まりが悪かったんだよねぇ〜。そんなとこかなぁ。
タイトルも長いよね。イラク戦争が始まった後、3月22日(直後だ、戦争の2日後!)にNYで大きなデモがあって、25万人がピースウォークしてぼくも参加したんだけど、その中の一人が持っていたプラカードの言葉なんです。それがとても印象的で、好きだったので写真に撮ったりしました。それを何かの形で使いたいな〜と思ってノートに書き付けていたんです。
もともとは言わずと知れたマーヴィン・ゲイの「What‘s going on」の中の歌詞の一説です。


7: Ngo/bitmix
(new balance CM theme song)
Music & Words by Ryuichi Sakamoto
Words translated into Brasilian Portuguese by Maucha Adnet

Voice, Vocals: Maucha Adnet
Sampled Voice: Dora Morelenbaum
Audio bits: Carsten Nicolai, Sketch Show
Keyboards, Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2003 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

もう説明するまでもありませんね。New BalanceのCM曲。
2003年の5月ごろに作りました。
CMのためのバージョンを作ったときに、当然このソロのレコーディングをやっている最中だったので・・・。
このbit mixも同時に作っていたんですよ。あっちのBossaバージョンはTV CFのためなんであ〜いう形になっているけど、ぼくとしてはすでにCHASMな気分だったので、あの時からこちらのほうがずっと好きで、5月にやったときのまんまです。
Audio BitsのクレジットでCarstenとSketch Showが入っているのは、気に入った音などをお互いに交換したりしていて、ぼくも送るけど、かわりに「プチッ」とかって、もらった音を使っているからです。(^^;
ここではSketch ShowとCarstenの「プチッ」が同居しています。

updated on 2/22/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.6/『CHASM』

各曲解説

4: CHASM
Music by Ryuichi Sakamoto

Piano, Keyboards and Sound programming: Ryuichi Sakamoto
Inspiration sources: Arto Lindsay, Antonio Carlos Jobim
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

これは2回目にNYでぼくのピアノの置いてあるRight Track 509STに漁をしにいったとき(5月15日)の収穫からの曲。
そのときも随分といい獲物が手に入ってね(笑)。そのImprovisationの最初のピースが「CHASM」になりました。
ちなみに、二つ目の ピースは「20 msec.」になったので、この日は本当に良かったね。三つ目のピースはCarstenに送って、彼が料理したんですよ。「vrioon」の第2弾を考えているんです。だからまだどこにも発表はしていない曲ですね。こちらはいずれ出ると思うので、楽しみにしてください。
「War&Peace」で言ったように、Carstenによる「Insensatez」のRemixにインスパイアされて作りました。
これはぼくの即興を使ったものですけれど。とにかく、即興するときからどうやって使おうか考えながら弾いているので、まあ即興といっても素材作りなわけですね。
M2Sのツアーで、ジョビンの音楽を演奏することによって得た「感情の深度」とミニマルの融合をさせる試みということです。
こんなにシンプルな曲でさえも試行錯誤はありましたが、結果的にはほぼ原型(即興から編集した最初の形)からほとんど変わっていないですね。本当は声の要素を入れることも考えてはいましたけど、むしろそれがないほうが曲の良さがより表れると、そのアイデアは捨てました。
この曲をアルバムのタイトルチューンにしたのは、「ジョビンから得たものを自分の音楽として表す」という大きなチャレンジの最初の一歩となったという,アルバム「CHASM」にとって象徴的な曲だからです。


5: World Citizen – I won’t be disappointed/looped piano
Music by David Sylvian, Ryuichi Sakamoto
Lyrics by David Sylvian

Vocals: David Sylvian
Sound programming: Sketch Show
Electric guitar: Amadeo Pace
CDJ-800: Keigo Oyamada
Keyboards, Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2003 Kab Inc., J-WAVE Music Inc./Japan (JASRAC), Opium (Arts) Ltd. For Japan assigned to Sony Music Publishing (Japan) Inc.

2003年10月にシングルで出した「World Citizen-I won’t be disappointed」のバージョン違い。実は、こちらが原型です。
もともとのトラックは、2003年、5月15日に録音したピアノ即興の5ピース目から作ったものです。「CHASM」と同じように、この素材なりの美味しい料理の仕方をさぐってゆく中で最初の4つのピアノの音の音形が出来ました。すごく綺麗なので、ただただLoopして聴いていました。ちょうどその頃、J-WAVEから開局15周年のテーマ曲の話をいただいたので、なんとなくこの素材で行けるのではないかな?と思いました。でもそのためにはPOPS的な歌の要素が必要だと思いました。この素材の上で歌える人はシルビアンしか思いつかなくて、すぐに送って聞いてもらったんです。彼も「すごく綺麗だ!」ととても気に入ってくれて、すぐにやってくれました。面倒な説明になりますが、その前に兄弟曲のシルビアン楽曲「World Citizen」があったんです。ちょうどイラク戦争が始まったころにシルビアンが発表する当てもなく作った曲をぼくに送ってきていた。その曲をどうしようかと相談を受けていたんです。その曲のことがあったので、ぼくの「World Citizen-I won’t be disappointed」の歌の内容を、シルビアンの「World Citizen」と兄弟曲になる内容でいこうと進言した、という背景がありました。
ぼくの「World Citizen-I won’t be disappointed」はJ-WAVE開局15周年テーマ曲という事で、ある程度POPにする必要があったのでSketch Showのお二人にPOPにしてもらおうと思い、Audio Fileを送ったんです。でも元々が「美しく、静か」な素材なので、Sketch Showも静かな音しか入れられなかったようで・・・、期待していたほどPOPな素材が上がってこなかった(^^;。仕方なく、かなり苦労して自分でやりました。この地味な素材を使って最大限にPOPにしたのがあの去年10月に出したシングルバージョンです。
幸いなことにTOKIO HOT100で1位になったりしてビックリしましたが、個人的には最初の、シルビアンと共有した静けさ、美しさを形にしたかった。このアルバム・バージョンでは当初の静かなバージョンに戻してみました。
すごく気に入っていてね。
こちらのバージョンでは小山田くんもCDJで参加してくれています。
例によってその素材はチョキチョキして入れ込んでいます。(^^;
結果的に、ぼくはかなり好きトラックになりました。本当に美しいと思う。
まるでガラス細工のよう。ベネチアン・グラスのような美しさだな〜。惚れ惚れする。

updated on 2/22/2004


Media Information Update-2/20/2004

下記、番組への出演は無くなりました。ご了承ください。

RADIO
J-WAVE 「SLOW MORNING」 2月21日(土)8:00〜11:25 放送予定
updated on 2/20/2004


Media Information Update-2/17/2004

TV
TBS「News 23」 2月23日(月) 放送予定
ANB 「ミュージック・ステーション」 2月27日(金)20:00〜20:54 放送予定 
CX 「HEY! HEY! HEY! –Music Champ-」 3月1日(月)20:00〜20:54 放送予定
TBS 「うたばん」 3月4日(木)19:54〜20:54 放送予定
*ここに挙げているリストは取材時に得た情報、あるいは収録予定を元に作成したものですが、それぞれの放送局の都合により放送日・時間が変更になる場合もございます。予めご了承くださるようお願いします。
updated on 2/18/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.5/『CHASM』

各曲解説

2: coro
Music by Ryuichi Sakamoto

Sound programming: Keigo Oyamada, Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC)

2003年9月26日、小山田くんとのセッションの2日目、彼との作業がとても楽しく、順調に進んだのでもっと何かできないかと思い、急遽HDの中にあったドラムLoopを探し出してネタにし(1小節のLoop)、Kaoss Padを2台繋いで、(前の日に小山田くんのKaoss Padを見て、一目でお気に入り、すぐに買ってきてもらったんです。すっかりハマリました!)1回セッションをした。音の素材的には足しも引きもしていない、トラックは一つだけです。録った素材に複雑なプラグインを使うことで音を変えていって、ものすごく切り刻んで再構成したもの。とっても新鮮でした。ちょっと聞いたことのないような曲になったでしょ?
とても「CHASM」っぽいとも言えると思います。
素材は平凡なドラムLoop一発だけど、Kaoss Padによる処理とプラグインでものすごく複雑な音響に聴こえる。もちろん、Kaoss Padの指で操作する複雑性、割り切れなさは生かしてあるから,それが複雑に聴こえる一要素かもしれないと思います。とにかく音が複雑に変化している。シンセでは作れない、あるいはもし作るとしたら膨大な作業が必要な、ああいう音響のものを一から作るのは難しい。非常に多様性に富んだトラックだと思います。それが一瞬にしてリアルタイムで出来たところがすごい。Kaoss Padがなければ出来なかった曲ですね。
「Kaossした」と今では動詞にしてつかっています。(^^;
音は、ドラムのようでもあるし、ギターのようでもあるし、はたまた電子音のようでもある。タイトルの「coro」はラテン系の言葉。元はギリシャ語で「合唱」という意味です。イントロの合唱のように聞こえるところも同じドラムLoopなんですよ!あそこが合唱みたいに聞こえるので「coro」とつけたようなもんです。この楽曲をアニメ映画「Appleseed」にお勧めしたのは、bitの目の粗い感じがこの映画にピッタリだと思ったから。まるで「Appleseed」の戦闘場面のために作ったとしか思えないような曲になったので提供を決めました。
この曲の聞き方で、聞き手が2分されるような気がする。この曲で衝撃を受けるかどうか、まるでリトマス試験紙みたいな曲だと思っています。


3: War & Peace
Music and Word concept by Ryuichi Sakamoto
Words by Arto Lindsay

Voices: Donna Stearns, Tony Dadika, Michael Dulev, Rabe Hong, Aimee Wheeler, Sansan Fibri, Paul Coughlan, Isabel Ramirez, Jamie Choi, Kristine Paulsson, Alberto Suarez, Yusuke Nakayama, Mike Getz, Katy Lewis, Matt Derek, Miguel Cotto, Anna Anaeva, Emmanuelle de Montgazon, Christian Rogers, Viviana Parra
Cello: Jaques Morelenbaum
Guitar: Luiz Brasil
Percussions: Marcelo Costa
String section led by: Fuminori Shinozaki
Medicine drum: Haruomi Hosono
Sound programming: Sketch Show
Keyboards, Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC), Firma Music (BMI)

「CHASM」全体で重要なインスピレーションになったのはCarsten Nicolai(a.k.a Alva Noto)によるM2Sの「Insensatez」のRemixでした。
あれで衝撃を受けたんです。
もともと2002年のM2Sのツアー中から方向性をさぐっていた、ジョビン的なものとミニマルな音楽の融合。2002年にM2SをやりつつもCarstenと「vrioon」を作っていた流れが合わさったのが「CHASM」として結実した。そのきっかけとなったのが冒頭の「Insensatez」のRemixだったんです。
とても大きなインスピレーションになりました。

この曲のLoopの素材になっているのは、実はCarstenがRemixしたM2Sによる「Insensatez」の同じトラックなんです。
Carstenの手法ではない、ぼくなりの方法でLoopを作ってみたものが下地となっています。それがすごく良く出来て、とても気に入りました。その1曲だけでアルバムにしようと思ったくらいだったんですよ。
当初は45分もある長いLoopで、ずっと聴いていたんです。
元の素材となった「Insensatez」のクオリティーが高いこともあり、そのLoopからイロイロなメロディーが聴こえて来ました。
そういう意味で、とても迷いました。せっかく可能性のあるLoopなので、普通の音楽にはしたくないと思ったんです。人のしゃべり声をコラージュすることで何か新しい形になるのではないかと思いました。Sketch Showのお二人に話したときは、すでにそのアイデアが固まっていたので説明しました。そうしてトラックを聴いているうちに細野さんがMedicineドラムを入れだしたんですよ、「ぼく,これやる」とかいって。(^^; 一方の高橋くんも好きな音を足している、という感じでね。

言葉の部分に関していうと、7月中旬にM2Sのツアーが終わって、ソロの作業を再開してから、Arto Lindsayが週に1度くらいStudioにくるようになって、いろいろな曲についての話をしたりしていました。この曲では普通の人がしゃべる言葉をメロディーとして使いたいというアイデアがあったし、内容的には「イラク戦争」という大きな命題があったので、「戦争と平和」を考える内容にしたいが、単純な反戦とか非戦にはしたくないと思っていました。それをどう表すかは難問でした。普段は「筆の早い」Artoも何週間も考え込んでいました。結果的にはArto独特のヒネッタ表現になっていて、ぼくも満足しました。次の段階は、どうやって「普通の人に来てもらうか」ということ。音楽業界では普通の人を雇うという習慣がないので、映画関係者に相談しました。映画の世界だとエキストラを雇ったりするでしょう?11月12日に17人のNYに住む、国籍も年齢もバラバラな「普通の人」に集まってもらい、まず足音と文章の朗読を録音したんです。
ちなみに彼等にはトラックは聞かせないで録音したので、各自の朗読の長さとか、ペース、テンポも全くバラバラでした。
足音の方は、これはこれで1曲別な曲のアイデアがあったけど、今回は間に合わなかったので、まだ寝かしてあります。
いずれ何かの曲になるでしょう。(^^;

このレコーディングも、東京でのレコーディングもそうだけど、自分がなんだか漁師になった気分でしたよ。たまにどこかに出掛けては漁をして「Catch of the Day」を持って帰り、家に篭って料理する・・・「CHASM」の制作はそんな日々の繰り返しでした。
先の17人に加えて、最終的には友達を3人足し、計20人の声が集まりました。で、それから膨大な編集作業が始まりました。それこそイロイロな使い方の可能性があるので、かなり悩みました。当然言葉の抑揚の中に、英語の場合は強弱が出てくる。その、英語がもっているアクセントを基本にしてトラックに当てはめてゆくっていう作業が・・・・う〜〜ん、企業秘密だからもう辞めます。あとは内緒。
聴いて想像してください。

最終的には言葉を使ったストラクチャーが出来て、あとはそれに添って楽器の出し入れになるんだけど、割とぼくにはめずらしい形をとってみたんですよ。ごくごくシンプルに最初から終わりに向かって楽器がひとつづつ増えていって、一度出てくると消えないわけ。ハイドンの段々消えてゆくのがあるでしょう?あるいはラベルのボレロみたいなものというかさ。ボレリッシュにやってみたの。(笑)
音楽家、作曲家にとってはあまりにも単純な構造なんで、普通はそんなことしようとは考えないわけ。コロンブスの卵みたいなものかな。ぼくも考えたことはなかった。事実そういう曲というのは100年に1回あるかないか・・。
だってハイドンからラベルだもん。寡聞にしてその2つの例しか知らないもの。
そんな単純な構造・・・・・。
でもこれがハマったんですよこの曲には、予想通りというかね。すごくHappy!
updated on 2/16/2004


Media Information Update-2/15/04

TV
ANB 「ミュージック・ステーション」 2月27日(金)20:00〜20:54 放送予定 
CX 「HEY! HEY! HEY! –Music Champ-」 3月1日(月)20:00〜20:54 放送予定
TBS 「うたばん」 3月4日(木)19:54〜20:54 放送予定

RADIO
ニッポン放送 「テリー伊藤、のってけラジオ」 2月20日(金)13:00〜15:30 放送予定
J-WAVE 「TOKIO HOT 100」 2月22日(日)13:00〜16:58 放送予定
J-WAVE 「ASIENCE Sprit of Asia」 2月22・29日(日)18:00〜18:54 放送予定
J-WAVE 「PRIME ANGLE」 2月25日(水)14:00〜17:00 放送予定
J-WAVE 「Groove Line」 2月25日(水)17:00〜20:00 放送予定
J-WAVE 「RadioSakamoto」 2月29日(日)24:00〜26:00 放送予定
TBSラジオ 「日曜日の秘密基地」 2月29日(日)13:00〜17:00 放送予定
FM COCOLO 「大貫妙子 Radio Purissima」*放送日が変更になる予定です

雑誌
「Relax」 2月06日発売 200403号  
「bridge」 4月2日発売号
「SIGHT」 3月12日発売号
「SPA」 2月24日発売号
「キーボード・マガジン」 4月号
「weekly ぴあ」(関西版) 2月23日発売号
「weekly ぴあ」(関東版) 2月23日発売号
「東京カレンダー」 3月21日発売号
「週刊ヤングジャンプ」 3月18日発売 16月号

*ここに挙げているリストは取材時に得た情報、あるいは取材・収録予定を元に作成したものですが、それぞれの出版社、放送局の都合により発売日、放送日・時間が変更になる場合もございます。予めご了承くださるようお願いします。
updated on 2/15/2004


SAKAMOTO Q&A Vol.4/『CHASM』

各曲解説

1: undercooled
Music by Ryuichi Sakamoto
Words by MC.Sniper

Cello: Jaques Morelenbaum
Guitar: Luiz Brasil
Sound programming: Sketch Show
Electric guitar: Keigo Oyamada
Erhu: Cao Xue Jing
Rap: MC.Sniper
Kayaguem: Sampling from the master recordings “Kayaguem Sanjo” licensed by King Records
Keyboards, Sound programming: Ryuichi Sakamoto
©2004 Kab Inc. /Japan (JASRAC), Pony Canyon Korea Inc.

2003年の4月のある日、ちなみに、「CHASM」全体のうち2曲は2002年に作った曲もあるものの、2003年2月19日に自分のピアノが置いてあるNYのRight Track 509STでピアノ即興の6ピースを録音したことから実作業が始まっています。2002年10月の時点ですぐにも制作スタートしたい気持ちがあったけれど、
ツアー中の9月末に父が亡くなったりで、気持ちとは裏腹にすぐにスタートできなかった。さらに2003年初頭にに六本木ヒルズ「The Land Song」の制作などがあって、ソロに本腰を入れることができたのは2月でした。

この曲は4月のある晩にコードとメロディーを思いついて、そこで曲の骨格は出来てしまいました。それをLoopして長いものにし、どんな可能性があるか、寝かしておいた。5月にMC.Sniperがぼくの「The Sheltering Sky」をサンプリングした「Baby don’t cry」を聞く機会があって、彼のRAP、声がこの曲に合うな、と直感しました。また「CHASM」全体としては「反復」で曲を作りたい、という気持ちはず〜とあったんです。その「反復」ってHIP HOPの構造に近いじゃないですか。
それからこのテンポにはRAPが生きるでしょう?
だからHIP HOP的な手法で作るという方針は固まっていたわけです。
では、どういうRAPか?USのRapperも調べたりもしました。政治的なことも織り込んでRAPできる人はいないか?とリサーチを始めた。友達に相談してフランス人のラッパーも調べましたよ。そんな時にMC.Sniperを知ったんです。リズム・トラック(ドラム、ベース)は早い段階からSketch Showに頼むつもりだったけれど、生でやるべきか、打ち込みがいいのか?は分からなかった。

当初は15分くらいの長いトラックにしようかとも思っていたんです。だからRAPをコラージュしようという案もあった。でも5月にはMC.Sniperが決め手となっていました。参加を依頼してからも、MC.Sniperくんの姿勢が素晴らしかったので、彼に対する敬意を表する意味でも、他のRapperを起用してRAPをコラージュするアイデアは道義に欠ける気がしてやめました。そのほかの部分では、2003年6月に、Jaques Morelenbaum, Luiz Brasil, Marcelo CostaがM2SツアーのためNYに来ていたので、ツアーが始まる前日にぼくのスタジオでそれぞれ1時間ずつやっています。その時点で特に確固たるアイデアがあった訳ではないけれど、この「undercooled」はメロディーもある曲だし、とりあえず録っておこうと思ったという感じです。(ちなみに「WAR&PEACE」のCelloは即興です。)
2003年9月下旬に日本で小山田くんにはただ思うままにギターを弾いてもらいました。お任せの即興演奏を30分くらい。その中から1分弱しか使っていないけれど・・・。録音してきた素材の中から、直感的に音色やフレーズを刻んでいった。
バサバサと編集しました。

そしてその直後、10月頭にはSketch Showとのレコーディングがありました。アルバムに入る可能性のある曲を15曲ほど、全部聴いてもらって、それぞれに意見をもらった。特にこの曲は二人には是非にとお願いしました。細野さんも、高橋くんもノってくれて、3人で一緒に作業をしたんです。そこでは、高橋くんはドラムのパターンを考え、細野さんはベースのパターンを考えるという、セッションのような感じになりました。

11月、MC.SniperのRAPが届いた後は全体のストラクチャーを決めて、楽器の抜き差しを決めてとすんなり進みました。しかしマスタリングの1日前(12月10日)に、エンディングの最後を一人で夜中にコツコツと作ったんですよ。MC,Sniperくんが送ってくれたトラックには彼の「雄叫び」もあったし、ちょっと乱暴にしてみたかったので。この曲が完成して、とても「CHASM」らしく、POPなトラックになったなと思って気に入ってます。アルバムの中にもう1曲くらい、こういう曲があってもいいな〜と思ったりするほどです。この曲でのRAPは成功だった。もちろん、最初にコードとメロディーが出来たときからいろいろな可能性のある曲だったけれど、制作過程の中で選択をしてゆくと必然的に絞られてくる。
その時点での最適解を求めて完成させているわけで、これ以上の形は考えられないぞ!というのが今の気持ちです。

updated on 2/13/2004 (GMT-5:00)


Media Information 5

RADIO
TOYKO FM「Countdown Japan」 2月14日 放送予定
ニッポン放送 「テリー伊藤、のってけラジオ」 2月20日 放送予定
FM COCOLO 「大貫妙子 Radio Purissima」 2月21日、2月28日 放送予定
J-WAVE 「TOKIO HOT 100」 2月22日 放送予定
J-WAVE 「ASIENCE Sprit of Asia」 2月22日、2月29日 放送予定
J-WAVE 「RadioSakamoto」 2月29日 放送予定

雑誌
「Relax」 2月6日発売 200403号  
「bridge」 3月下旬 or 4月2日発売号
「SIGHT」 3月12日発売号
「SPA」 2月24日発売号
「キーボード・マガジン」 4月号
「weekly ぴあ」(関西版) 2月23日発売号
「weekly ぴあ」(関東版) 2月23日発売号
「東京カレンダー」 3月21日発売号
「CREA」 4月7日発売号
「smart max」 3月10日発売 4月号

*ここに挙げているリストは取材時に得た情報、あるいは取材・収録予定を元に作成したものですが、それぞれの出版社、放送局の都合により発売日、放送日・時間が変更になる場合もございます。予めご了承くださるようお願いします。
updated on 2/12/2004 (GMT-5:00)


SAKAMOTO Q&A Vol.3/『CHASM』

『CHASM』
Q&A with SAKAMOTO
第3回


Q6
中国伝統楽器や、その他のエスニック楽器は以前から使っていらっしゃいますが、今回の『CHASM』では雅楽器などが多く使われているという印象があります。雅楽器の魅力はなんでしょう? 伝統楽器を使用する際、どのように「楽器」を選ばれるのでしょうか?

そういえば、笙の素材もあったんだよね〜。使ってないなぁ。次で使おう。(笑)

西洋音楽の楽器ではない音に対する興味は大学に入る前からあって、一時は民族音楽の学者になりたいとさえ思っていたんです。小泉文夫先生の授業も取っていたし。それにしちゃ、あんまり使っていないでしょ。
民族楽器オンパレードっていうのもいやだしね。

平均率に対する閉塞感というのは16〜17歳のころからあるわけで、それがず〜っと続いているということなんでしょうね。
だから民族楽器にあこがれる。

篳篥は、あの音程が妙で好きなんでしょうね。本当に妙だからねぇ。


Q7
今回の『CHASM』ではツアーやライブ・パフォーマンスなどの予定はあるのでしょうか?

やる気満々なんだけどねぇ〜。
作ってみたらやりたくなっちゃってね〜。
でも、アルバム制作の最中に「この音源でライブなんて出来ない」って言ってしまったんで・・・。マネージメントがスケジュールを取っていなかったの。(^^; 
だからツアーの予定はありません。
仮にスケジュールが空けば、そりゃーやりたいですよ。でも、どうしてもLaptopっぽいものになってしまうけどね。
そっか〜やっぱり無理かぁ。CD掛けてるのと同じになっちゃうもんなぁ〜。



updated on 2/11/2004 (GMT-5:00)


『CHASM』アナログ盤も発売決定!

今月、25日の発売が待たれる最新作『CHASM』。
そのアナログ盤が3月24日に発売されることになりました。
アナログ盤のマスタリングは名盤『B-2UNIT』のマスタリング・エンジニア、
London,The SoundmastersのKevin Metcalfeのによるものです。
(CD盤のマスタリングはNY、The Sterling SoundのTed Jensen)
詳細は以下の通り:

アナログ盤: 『CHASM』
WQJL-10002
1: undercooled
2: coro
3: War & Peace
4: Chasm
5: World Citizen-I won't be disappointed/looped piano
6: Ngo/bitmix
7: +pantonal
8: the land song-music for Artelligent City/one winter day mix
9: 20 msec.
10: World Citizen/re-cycled
11: Seven Samurai-ending theme
updated on 2/9/2004 (GMT-5:00)


Media Information 4

TV
ANB 「ミュージック・ステーション」 2月27日放送予定
JOCX 「HEY! HEY! HEY! –Music Champ-」 3月2日放送予定
TBS 「うたばん」 3月4日放送予定

RADIO
ニッポン放送 「テリー伊藤、のってけラジオ」 2月20日 放送予定
FM COCOLO 「大貫妙子 Radio Purissima」 2月21日、2月28日 放送予定
J-WAVE 「TOKIO HOT 100」 2月22日 放送予定
J-WAVE 「ASIENCE Sprit of Asia」 2月22日、2月29日 放送予定
J-WAVE 「RadioSakamoto」 2月29日放送予定

雑誌
「Relax」 2月06日発売 200403号  
「bridge」 3月下旬 or 4月2日発売号
「SIGHT」 3月12日発売号
「SPA」 2月24日発売号
「キーボード・マガジン」 4月号
「weekly ぴあ」(関西版) 2月23日発売号
「weekly ぴあ」(関東版) 2月23日発売号

*ここに挙げているリストは取材時に得た情報、あるいは取材・収録予定を元に作成したものですが、それぞれの出版社、放送局の都合により発売日、放送日・時間が変更になる場合もございます。予めご了承くださるようお願いします。
updated on 2/10/2004 (GMT-5:00)


SAKAMOTO Q&A Vol.2/ 『CHASM』

『CHASM』
Q&A with SAKAMOTO
第2回


Q4
『CHASM』の中では、Sketch Show以外にも同じく長年の朋友David Sylvianとのコラボレーションが印象的ですが。Davidについてお聞かせください。

わっかんないねぇ〜。何だろう、どういう関係といえばいいのかな。(笑)
なんというか、ナゾですねぇ〜。
たしかにぼくの「音」と彼の声・唄との相性はいいと思います。100世代くらい前は本当に双子の兄弟だったのかもしれませんねぇ〜。実年齢はぼくの方が上ですけど、体感している年齢は同じなんですよ。
双子の兄弟が大陸の東と西に別れてしまったんでしょうね。(^^;

音楽的に彼の場合はアカデミックな下地はなく、直感だけで音楽を作っているので偉いよね。本当に偉いと思う。
ぼくたちはこれほどバックグラウンドが違うのに、音楽的に重なっているところがあると思います。好む音が似ている・・・とか、そういうことかもしれない。
ぼくとシルビアンにしか出せない「ブヲォ〜〜ン」っていう、独特の暗〜〜〜いシンセの響きがあるんだけど、あんまり他では聴かないよねぇ。何でだろう。
それが何かというのは、よく分からないですね。

とにかく彼とは「双子の兄弟みたいな感じ」としか言いようがない。
ずっと一緒にいたらお互いに疎ましいだろうし、それぞれ別な人格で別な生活があり、それを侵食することはないわけ。

人間って能力が短期間に飛躍的に伸びるときがあるじゃないですか、ぼくはシルビアンのそういう時期を何度か見てきましたよ。長い付き合いの中でそれはぼくに起こった時もあるわけだけど。とにかくシルビアンは感覚がすごく鋭いよね。

しょっちゅう連絡を取っているわけではないので、考えとか音楽の好き嫌いとか、毎日どんどん変化しているんだろうけどこちらが知るのは折々だから、たまに話したときに彼が変化していてビックリすることもある。それが刺激にもなります。
ただ精神的なことに関しては、シルビアンがヒンドゥー教を信仰するようになってから、こちらに知識がないのでよく分からない。それと二人の娘の立派なお父さんになったので、人間的にはたくましくなったと思う。


Q5
『CHASM』各曲では、それぞれ曲の色合いなどが異なると思いますが、アルバム全体をとおして技術的な部分やサウンド面で何か特別なこだわりはありましたか?

やはり今回の特徴は、極力MIDIを使わず直接「音の素材」であるAudio Fileをいきなりいじるところから始めていることだと思います。ぼくとしては白いキャンバスにモノを置いてコラージュを作ったり、ミロやクレーみたいに不思議な記号や形を置いてみたり、ジャクソン・ポラックみたいだったり・・・・、拍節構造に縛られない音楽を作ってみたいという夢がずっとあって、それが「CHASM」では少し実現したような感じはしています。
コラージュで使う「モノ」の素材化のような手つきでAudio Fileを扱えるというのは、記憶媒体とCPUの進歩、コンピューターの進歩のおかげですね。
サウンド面では、Filterにこだわっていろいろな種類を試したり、実際に多用しています。Filterの使い方一つで、ある「音」を聴いて生まれる感情とか、深度が大きく変わってしまうんですよ。素材とFilterの組み合わせも本当にさまざまな可能性があるので、自分が「これ!」と思う音になるまで作業を続けました。孤独にね(笑)。
全体の音のテイストも、基本的には全ての作業を自分ひとりでコントロールできるので、より個人的で非常にインティメイトなものになっていったと思います。最後のマスタリングでもその雰囲気や色合いが壊れないよう、かなり気を使いました。



updated on 2/9/2004 (GMT-5:00)


SAKAMOTO Q&A Vol.1/ 『CHASM』

坂本龍一の最新ソロ・アルバム『CHASM(キャズム』の発売がいよいよ迫ってきました。
以前にお知らせしたとおり、『CHASM』制作の背景や各曲について、
サカモトとone on oneでおこなったインタビューを、10回に分けて掲載します。

『CHASM』
Q&A with SAKAMOTO
第1回


Q 1
アルバム制作、おつかれさまでした。
まず「作り終わった」今のご気分、そして感想を聞かせてください。


気分はとっても爽快です。
満足しています。
本当、大満足。「エスペラント」と同じくらい、自分にとって大事なものが出来たという感じがしています。


Q 2
ここ数年、『1996』、『BTTB』、『LIFE』などのアコースティックなアプローチと、一方で『COMICA』、『vrioon』などのelectronicなアプローチという流れは常に平行していたと思いますが、『CHASM』をどう評価されていますか?また表現方法という部分での葛藤などはありましたか?

前々から、自分にとっての課題は、生っぽいものとエレクトロニックなもの、あるいはクラシカルなものとそうでないもの、という風にどうしても音楽のスタイルが大きく二分されてしまうことでした。それらを並列するのではなく、どうやって一つの音楽の中で融合させるのか、とうことなんだけれど、とにかく、もう分けて提出するというのが嫌だな〜という思いが強かった。両方好きだし、両方出来るということがぼくなんだから、ぼくなりの融合の形を作ると自分らしいし、等身大の自分にもっとも近い音楽だと思うので、努力してきたんですよ。今回の「CHASM」では、よりその悩みを解決するのに近い回答を得たような気がしています。また同時に、そういう試行錯誤の中で、新たな音楽を作ることに対する閉塞感をこの数年感じていたし、実社会においても911以降の閉塞感というのがとても強かったな〜と実感しています。「いまさら自分が新しいものを作る必要がないんじゃないか?」というように。
その上さらに足掛け3年に渡ってのMorelenbaum2/Sakamotoの活動と、自分の音楽をできないというフィジカルな抑圧もありましたから、「CHASM」にの中に現れた開放感というのは大きいように思います。もちろん、実際にアレンジ上も音が詰まっていないので、開放感があって、シンプルでスカッとした感じがするんだと思いますよ。


Q3
Sketch Showの存在は『CHASM』にどのような影響を与えましたか?日本の音楽界にとって重要なお三方が、それぞれelectronica的なものを愛好し、音楽的な可能性を感じている様子は偶然とは思えませんが・・・。

現代に生きる音楽家として、大枠のところではきっと感じていることが近いんだと思います。ただSketch Showのお二人とぼくとでは、表し方はかなり違うんだよね。
それは、音楽のルーツが違うからじゃないかな。演奏する楽器も違うしね。Sketch Showの作品は2次元的な音の配置だと思うんです。細野さんも「空間性がいやだ」っていうようなことを言っていたしね。それから逃れたいと。ぼくはむしろ自分の音楽の母体となる楽器がピアノやキーボードということもあって、身体性としては無意識のうちに2次元的に感じている音を、もっと3次元的に捉えたいと思っていました。今作では特にその「3次元的な音の深度」を意識しています。そういう部分で、音楽的にずいぶん違って聴こえると思います。
ただね、いくら細野さんや高橋くんが空間性を排除しようとしても、ぼくが聴くと、その電子音の中にもしっかりと身体性がある、そこが面白い。
Sketch Showはよきライバルであり、大切な「心の友」です。



updated on 2/6/2004 (GMT-5:00)


Media Information 3

1999年に発売された後藤繁雄による坂本龍一の<反>評伝、「skmt」(リトル・モア刊)
の続編ともいうべき「skmt2」の最新のインタビューが「季刊 InterCommunication No.47」に掲載されています。

季刊 InterCommunication No.47
2004 Winter

特集:CODE/コモンズ/ソフトウェアー創造の原理と権利
定価:1,400円(本体1,334円+税)
updated on 1/31/2004 (GMT-5:00)


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