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二十一世紀を目前に控えて、世界中のNGO、宗教団体、メディア、学者、そして一般の人々が集まり、新しい市民運動が生まれました。「ジュビリー2000」という名のこの運動は、世界の最も貧しい国々の債務を帳消しにし、新しい世紀を祝おうというキャンペーンです。すでに百三十カ国から千七百万人以上の署名が集められ、その中には英国のロックバンド「U2」のボノやダライラマ法王の名前もあったので、私もこの運動に関心をもちました。 日本を含めた先進国が、発展途上国に毎年たくさんの援助を行っているのは、皆さんご存知のだと思います。しかし、それらは本当に援助になっているのでしょうか?実は先進国が1万円援助するごとに、途上国側は十三万円も債務を返済しなければいけないのです。最貧国では刻々とたくさんの子供たちが亡くなっています。人々が飢餓や病気で亡くなっているのに、債務の返済のために医療や教育にお金を使えません。しかもそれらの債務の多くは、次々と現れる独裁者らに貸し付けられ、武器購入や一部の人間を富ますためだけに使われているのです。にもかかわらず、利息を支払い続けているのは、罪のない貧しい市民たちなのです。 ところが、このような悲惨さを招いている債務を帳消しするのは、意外に簡単です。日本人の一人ひとりが毎年ビールを一本飲むのをがまんすれば実現できるのです。 この数年、地球環境の悪化がひしひしと感じられるようになってきました。現在の人間活動がここまま続けば、私たちの子供や孫が大人になるころには、われわれの想像を越える劣悪な環境で人生を過ごさなくてはなりません。20世紀はエネルギーをめぐる戦争の世紀だったが、21世紀は水をめぐる戦争の世紀になるだろう、という恐ろしい予測もあります。実は、途上国の債務の問題は、この地球規模の環境問題と密接に関係しているのです。なぜなら、それら最貧国の多くが熱帯雨林を有し、それらの国の人々は毎日の糧と債務の返済の為に、貴重なそれらの森林を持続不可能な形で消滅させているのです。熱帯雨林は地球の肺です。肺なしでわれわれは生きられるでしょうか。その肺が、今急速に地球から消滅しつつあるのです。 「ジュビリー2000」はこのような状況を改善し、最貧国が無理に木を切り倒さずとも済み、資金を学校や病院の建設・運営などに使えるよう、「重荷」から解放することを求めています。国連の推定によると、もし最貧国が返済資金を保健や教育に回せば、毎年七百万もの子どもの命が救われるそうです。先進国が支払いを強制することで、最貧国の子どもたちの健康と命さえも奪っているこの現状は、犯罪と呼んでもいいのではないでしょうか。 幸いなことに、これらの債務を帳消しにする力を持っている世界の指導者たちは、とうとう「ジュビリー2000」に集まる人々の声に耳を傾けはじめました。クリントン米大統領は昨年九月、同国が持つ最貧国債権の全額を帳消しにすることを表明しましたし、英国、イタリア、カナダの首相も同様の約束をしました。 次は、日本こそがリーダーシップを発揮する時です。日本の指導者にとって、七月の沖縄サミットはとても大切な会合なはずです。是非とも、累積債務を全面帳消しにし、最貧国の人びとを救うために、サミットにおいて真剣な話し合いをしてほしいと願います。債務帳消しが最貧国のみならず、将来的に私たちの子どもたちをも救うことになると信じます。 「ジュビリー2000」のサポーターたちは今月十一日、大蔵省を「人間の鎖」で取り囲み、同省が最貧国に寛大な態度を示すよう求めます。他の国々の政治家は、債務帳消しが彼ら自身のキャンペーンにもなることに気付きはじめました。日本の指導者たちも、早急に発想の転換ができるよう願っています。 最貧国債務を帳消しにし、来たる新世紀を、地球上すべての人びとで祝える機会にしましょう。
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